2022年6月15日 (水)

6月14日:岩手・宮城内陸地震から14年

 宮城・岩手両県で死者17名・行方不明者6名等の深刻な被害をもたらしたこの地震は、私が宮城県に着任した年の前年の発生でしたが、行方不明者のうち、山形県金山町のご夫婦(注:軽トラックご乗車中の被災と目されていた)の再捜索については、20108月に実施されましたので、よく覚えております。

https://www.nikkei.com/article/DGXNSSXKC0440_T00C10A8000000/ 

http://www.kousyo-sagyo-car.com/tag/%E6%8D%9C%E7%B4%A2/page/43 

 東北大学の協力で2009年に行われた金属探知機使用探査の結果、車両が埋まっている可能性ありとされた3ヶ所はいずれも急峻ながけであり、当時、作業に当たった方々は、細心の注意を払いながら、手掛かりを求めて必死に捜索したのですが、残念ながら、未発見に終わりました。

 そして、ご家族も了承されたということで、本件捜索は打ち切りになり、その時はそういうものだと思ったのですが、東日本大震災の行方不明者捜索が今も行われていることにかんがみれば、もちろん単純比較はできないものの、少し複雑な心境にもなります。山梨県道志村の3年前の行方不明女児の人骨らしいものが今年発見されたことからすると、今後、例えば大雨等で地形が大幅に変われば、手掛かりを得る機会が生まれないとも限らないのではないか。再捜索を開始すべきという趣旨では全くありませんが、少なくとも、地形の大幅変更の際には、過去の本件捜索の事実を思い出すことは必要かもしれない。一民間人としての感覚にすぎませんが、この地震の発生14年目にこのように思う次第です。

 ちなみに、この地震による荒砥沢崩落現場(宮城県栗原市)は、本部長時代に実査して、まさに「日本のグランドキャニオン」と呼ばれるに至った惨状に呆然としたのですが、3年前に私用で岩手県一関市を通過した際、祭畤(まつるべ)大橋の落橋現場を初めて訪れ、68mの国道橋が無残に変形した姿を目の当たりにして、自然現象の猛威の前では人間がいかに無力か、改めてつくづく思い知ったところです。

 自然現象の猛威と言えば、昨日はたまたま、東奥日報の旧知のS記者から、東奥春秋というコラムに「危険な自然現象」と題する文章を執筆したとの連絡を受けました。小欄20219月の「東北管区警察局講演(3回目)」でもS記者のインタビューについて触れましたが、今回も「危険な自然現象は避けられないが、知識を深め、事態を想像し、準備すれば被害は抑えられる。全ては自分の行動次第だ」と書かれています。まさに、「我が意を得たり」との思いです。

(知らないうちに小欄も101回目の拙文登載となりました。引き続き雑文執筆を続けたいと思います。)

2022年5月23日 (月)

昨5月22日の地震(茨城県沖)

昼の1224分頃に発生し、いわき市で震度5弱を記録したこの地震は、震源の深さ5kmと浅め(マグニチュードは6.0)。この領域では少ないパターンだった模様です。ただ、去年の84日にも、茨城県沖でマグニチュード5.4、震源の深さ6kmの地震があったとのこと。

https://weathernews.jp/s/topics/202205/220115/ 

11年前の東日本大震災(震源域は岩手県沖から茨城県沖にかけて、長さ約450km、幅約200kmと広範囲)以降、何となくこの一帯の地震が多い気がします。

先に小欄で書いた本年316日や去年213日の地震は、マグニチュード7+で、昨日の地震よりずっと大きかったわけですが、かりに今回のような浅い震源だったとしたら、津波発生の懸念はより大きくなったと思われます。

62年前の本日発生したチリ地震(マグニチュード9.5の超巨大地震)では、翌24日未明に突然、太平洋岸に大きな津波が押し寄せ、全国の死者・行方不明者は142人に上りました(大船渡市53人、宮城県志津川町41人など、三陸沿岸に集中)。やはり、地震・津波の脅威は甚大で、しかも突然襲ってくるわけですから、常に警戒を怠らないようにしなければならない、と改めて思う次第です。

ちなみに、昨日も、東北新幹線は、新白河~白石蔵王間で上下線とも「停電」(※電力会社の供給支障ではなかったので、受電側の問題と推測)で停止し、数分後に復旧したとのこと。私事ながら、昨日はたまたまその少し後の列車で帰仙したのですが、今回の地震の影響がごく限定的だったのは幸運でした。

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20220522/1000080140.html 

2022年4月28日 (木)

いろは川柳「を」:「思いやりの心はやがて戻り来る」

続いて「を」です。

思いやりの心はやがて戻り来る

解説

仏教に、他人へのちょっとした気配りや心遣いで、 報が得られるとの教えがあります(=「無財の七施」 が、人生の幸せのカギは他人に幸せを与えることであるとの考え方は、古今東西を問わず、普遍的なものかもしれません。徳を積む、すなわち周囲に対し良い事を行えば、周囲が貴方を助けてくれるので、大概、物事はうまく運ぶと思います。

参考:「徳は孤ならず、必ず隣有り」(論語・里仁篇。人徳がある者には必ず支援者が現れる) 「良い行いは、絶対失敗しない投資である」(H.D.ソロー)

いろは川柳「る」:「ルール違反 続けりゃ必ず露呈する」

いろは川柳の「る」です。

ルール違反 続けりゃ必ず露呈する

解説

他人が見ていないと、目先の便利・快楽を求め、つい ルール違反に走りたくなるかもしれませんが、一回「禁断の味」を覚えると、また繰り返すことになり、結局は露見することになります。ルールには、倫理的に許されないことの禁止のほか、仕事の効率等を高めるための部内取り決めもあり、ルールの存在意義を理解することも大事です。

参考:「四知=天知る、神知る、我知る、子知る」(「後漢書」楊震伝。天も神 私も貴方も知っている→不正や悪事は必ず知られるとの意味) 「理解することよりも強力な法や規則はない」(プラトン)

2022年3月30日 (水)

3月16日の地震

この地震から2週間が経ちました。ほぼ1年前の令和3213日とほぼ同じ時間帯(いずれも仙台自宅で就寝中)だったのですが、今回も前回同様、所属会社に直ちに出勤し、対応に当たりました。この2つの地震を比較してみたいと思います。

以下の表の数値は、内閣府(防災)HP掲載の災害情報等からの引用です。

発生日時

令和43162336

令和32132307

震源の場所等

福島県沖(北緯3741.8分、東経14137.3分)、深さは57km(暫定値)

福島県沖(北緯3743.7分、東経14141.9分)、深さは55km(暫定値)

規模

マグニチュード7.4(暫定値)

マグニチュード7.3(暫定値)

最大震度

6強:登米市、蔵王町(以上宮城県)、相馬市、南相馬市、国見町(以上福島県))

6強:蔵王町(宮城県)、相馬市、国見町、新地町(以上福島県)

6弱以上の自治体数

宮城県・福島県の31市町村

宮城県・福島県の25市町村

津波

両県沿岸に注意報発令(翌朝5時に解除)。観測最大波=0.2m(石巻港、3/17 0029分)

観測最大波=0.2m(石巻港、2/14 0144分)

死者/負傷者

3人/241人(3/28現在)

0人/185

住家被害

3,032棟(3/28現在、福島・宮城・山形・秋田)

3,112棟(福島・宮城・山形)

その他

東北新幹線脱線。東京電力管内及び東北電力管内で最大約224万戸停電。東北自動車道・常磐自動車道は一部で路面亀裂18日までに通行止め解除)、一般道通行止め9区間

東京電力管内及び東北電力管内で最大 約95万戸停電。一般道通行止め1区間、高速道路は被災による通行止めなし

 

東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授は、次のように分析されています(下線は小欄)。

2022316日の福島県沖の地震(マグニチュードM7.4)は、2021213日の福島県沖の地震(M7.3)の余震の1つと考えています。(略)約1年前の2021年地震と同じタイプというだけではなく、震源位置もほぼ重なります。(略)今回も結果的に2022年地震のマグニチュードが大きくなっただけで、基本的には2021年の余震(影響を受けた地震)の1つだと解釈しています。さらに2分前のM6.1がその後のM7.4を誘発したのではないかとも考えます(証明はきわめて難しいですが)。(略)震源断層の位置の違いと規模の違い2022年がモメントマグニチュードMw 7.32021年がMw7.1.約2倍の大きさ)で震度6弱以上の地域が広がるとともに、宮城県北部で2021年よりも顕著にゆれが大きくなったと考えます。

https://irides.tohoku.ac.jp/research/prompt_investigation/2022fukushima-eq_toda.html

専門家では全くない小欄ですが、今回の地震について、個人的に次のように感じております(去年の地震被害が相対的に軽かったという趣旨では全くありません。去年も大変な地震でした)。

1.今回は、わずか2分間隔のダブルパンチ地震だった(緊急地震速報もそれぞれ出された)。連続激震によって、新幹線をはじめとする関係設備被害がより大きくなったのではないか1弾地震(23:34発生)の詳細情報はいまだに不明のまま。内閣府(防災)HPによれば、マグニチュード6.1、最大震度5弱(場所等の記載なし)とのことだが、具体的な各地の震度が出る前に第2弾地震が襲来したため、データが混信したのではないか。下記日本気象協会サイトでは、宮城県北部・南部、福島県中通り・浜通りで震度6強と記載しているが、正しいとは思われない。逆に、気象庁の地震情報では、第1弾地震のマグニチュード等の記載が全くない。

https://earthquake.tenki.jp/bousai/earthquake/detail/2022/03/16/2022-03-16-23-34-36.html

2.今回、宮城県及び福島県は、全市町村(計275116村)に災害救助法の適用を決定した。ちなみに、令和3213日の地震では、福島県が8市9町に災害救助法の適用を決定した。このことも、今回の連続激震のダメージが相対的に更に大きかったことを如実に示しているのではないか。

3.関連して、今なお東北新幹線の全線復旧がされていないのは、地域にとっても、個人的にも大きな痛手。一方、津波が大きくならなかったことだけは救いだった。ただし、津波注意報がどういう判断基準で出されるのか、解除までの時間(今回は深夜帯の5時間強)はどのように決められるかは、非常に重要。人々の次の避難行動に影響を与える可能性もある(いわゆるオオカミ少年効果)ので、今回と1年前の違い(前回は津波注意報の発令はなかった)については、早く検証してほしいところ。下記検証ページには、現時点いずれも未掲載。

https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/tsunamihyoka/index.html

4.一般的に、P(縦波)が先に伝播し、次に大きな揺れ(主要動)S(横波)が伝播すると言われているが、今回の23:36地震では、主要動=縦揺れと感じた。下記NHK報道も同じ。この原因は一体どこにあるのだろう?

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220317/k10013536711000.html

2022年3月11日 (金)

三月の君は何処(どこ)にもゐないがゐる

今日は鎮魂の日。

あの日と同じ金曜日(2016年に続き2回目)ですが、ここ仙台は、あの日(最高6.2度、最低-2.5度)よりかなり暖かいです。

県庁で献花をしてから出勤し、河北新報を開いたところ、今日の「秀句の泉」に標題句が掲載されていました。心をわしづかみにされ、思わず涙ぐみました。

https://kahoku.news/articles/20220311khn000005.html

当時釜石で高校教師をされていた女流俳人・照井翠さんの作だそうですが、不覚にも存じませんでした。

何年たっても、知らないこと、知らなかったことがたくさんあって、恥じ入るばかりです。

三・一一神はゐないかとても小さい

なぜみちのくなぜ三・一一なぜに君

同じ照井さんの作(下記サイト中の「自選五十句」)の中の2句です。

https://gendaihaiku.gr.jp/about/award/association_award/page-3458/

3.11は毎年重い日なのですが、こういう句を知って、少し心が洗われた気分です。

2022年3月 7日 (月)

あれからもうすぐ11年

また3.11が巡り来ようとしています。

去年の今ごろは、10年の節目が過ぎれば、マスコミ報道も減るのではないかと危惧していました。

しかし、それは杞憂だったようで、今年も地元紙やNHK、朝毎読など、結構特集記事を組んでくれています。

特に、知り合いの記者は、ずっと関係取材を続け、視点を変えた記事を書くなどしており、私が言うのも変ですが、本当に頭が下がる思いです。

5日(土)は、東北大・災害科学国際研究所主催のメモリアルシンポジウム「海溝型地震研究の発展と将来への備え」に参加(聴講)してきましたが、まさに次の大災害の切迫度が増している今、社会全体として、もう一度「あの日あの時」を振り返る意義は、11年経ったがゆえにますます高いと言えましょう。

2022年2月 8日 (火)

「職場学習論」(平成27年11月・警察學論集掲載)

警察學論集は、私の最後の職場だった警察大学校が編集し、立花書房が発行する警察関係雑誌です。

1948年以来、74年の歴史があり、警察部内はもちろんですが、法曹関係者、研究者等からも一目置かれていると言っても過言ではありません。

最近、警察大学校と立花書房のご英断で、一部の記事がネット公開されるようになりました。

手前味噌も甚だしいですが、平成27年11月の標記拙稿をご参考まで小欄に掲載させていただきます。

KORON 図書館 (tachibanashobo.co.jp)

正式のタイトルは『警察版「職場学習論」序説-警察教養を補完するものとして』でしたが、その「はじめに」で次のように記しました。お恥ずかしい限りですが、ここに「KORON図書館」の宣伝を兼ねて引用させていただきます。

 上から下まで多忙な現場において、職員が自らの仕事の能力(直接の実務能力だけではなく、仕事を円滑に進めるためのコミュニケーション技術等を含め、非常に多岐にわたる能力が警察組織では求められる。)を高めるためには、何をどのようにすればいいのか。幹部が部下職員に対する教育者/コーチの役割を果たすにせよ、そのための教育能力/コーチング能力をどのように身に付ければいいのか。そもそもなぜ若手人材は思うように育たないのか、なぜ管理者は適切な指導ができないのか。学校教養が不十分だからではないのか(という声が上がるが、実は各級警察学校も、苦労に苦労を重ねて人材を育てようとしている…)。

 このように、警察教養、人材育成は、常に多くの課題に直面している。これらは、一朝一夕に解決されるものでは全くないが、筆者は、従来の警察教養を補完する(別の視点から課題に光を当てる)ものとして、「職場学習」という概念に注目している。

なぜ今ごろ古い拙稿を持ち出すかと言えば、最近、文献のネット登載に関心を持つようになったからです。今や何でもネット検索に頼る学生等が増えておりますが、研究者にしても、昔ながらに図書館に行って印刷物に目を通すのは段々煩雑に感ずるようになっているとも思われます。ネット登載された文献は、検索エンジンでも引っかかる(⇒人の目に留まる)という利点がありますので、これからは何をやるにもそういう方向性を模索する必要があると痛感します。

まだ、ぼやっとした問題意識なのですが、警察謝恩伝道士としての次の方向性のヒントは、この「職場学習論」掲載の事柄にあるように感じられてなりません。

2022年1月31日 (月)

いろは川柳「ぬ」:「拭い去ろう 怠惰な心と行いを」

続いて「ぬ」です。

拭い去ろう 怠惰な心と行いを

解説

人間の本質は怠惰であるとの説があります。確かに、文明の発展は、楽を求める人の本性によってもたらされた面があります。しかし、「酒を温めるには、その酒より温かい湯でなければならない」(警察手眼)のであり、警察職員は、相手方よりも忍耐強く努力し、 かつ、怠惰・安直を戒めなければならないと思います。

参考:「一暴十寒」(いちばくじっかん。少しだけ努力して後は怠けるさま。一日だけ日に曝し暖めても、十日陰で冷やせば何にもならないから) 「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」(井上靖「氷壁」より)

いろは川柳「り」:「りんとした行動様式 意識しよう」

いろは川柳の「り」です。

りんとした行動様式 意識しよう

解説

警察は、仕事(=正義を実現すること)をりりしく行えば、市民に感謝され、同時に生きがいを強く感じることもできる素晴らしい職業です。警察職員は、常に「正」の一字を高く掲げ、りんとした振る舞いをすることが強く期待されます。制服を着ない職員を含め、心ではいつも制服を着ているという自己イメージが大事だと思います。

参考:「英姿颯爽」(中国の四字熟語。きりっと引き締まり、りりしく勇ましいさま) 「行いの立派な人こそがハンサム(立派)である」(Handsome is as handsome does.英語のことわざ)

«いろは川柳「ち」:「チェックしよう 常に自分の行動を」